街角の森を残し挿入した小さな住まい

名古屋の市街地近郊の、交差点の角地に建つ住宅。 住まい手の親世帯が昔住んでいたその土地は、転居後30年程の間に樹々が成長し旺盛過ぎる程の生命感を放つ小さな森を形づくっていた。まち並みのポイントにもなっているこの街角の森を残し、中に小さい住まいをそっと挿入し隙間から覗かせるようにすることで、見慣れた風景を保ちつつも、より親しみ易い場所になるように考えた。
建物は樹々に埋もれるよう高さを抑えると共に、小さな塊をずらしながら連ねた形にした。ずらしてできた建物入隅のコーナーにある庭は、我が家に囲まれた、落ち着いた居場所になっている。また、室内の沢山の出隅のコーナーからは、親世帯から受け継いだ思い出のある樹々が眺められ、それぞれに特徴的な居場所になっている。
まち・住まいの両者の関係の調整を敷地の古株に託し、それに呼応するように建物を配置し形づくることで、まちとの連続性や育まれた時間を紡ぐようにした住まいである。

DETA

  • 所在地:名古屋市
  • 用途:専用住宅
  • 構造:木造
  • 敷地面積:422㎡
  • 延床面積:122㎡
  • 竣工:2018年
  • 撮影:杉野圭*
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